シビリアン・コントロール????
昨日、国会で田母神前航空幕僚長の参考人質疑が行われた。日経新聞を引用して考えてみたい。
質問者「参考人は別の雑誌にも同じ趣旨の論文を発表している。注意はあったか。」「注意はありません。」防衛相「雑誌の性格は部内紙であり、そこまで目が及んでいなかったのは事実だ。」質問者「今回はチェックしたから職を解いたのか。」防衛相「航空幕僚長という立場でその見解をわれわれに通知せずに発表したしたことが極めて問題だ。」質問者「田母神氏は今年5月、東大で講演している。講演について石破茂元防衛相が原稿をチェックしたのか」「元防衛相からは十分注意しろという指導を受けた。」
質問者「論文で集団的自衛権や武器の使用について見解を述べているが、政府解釈や憲法を改正した方がいいという気持ちで書いたのか。」「その時点では、一般に話されていることをまとめて書いただけだ。今はもう(憲法を)改正すべきだと思っている。国を守ることについて、これほど意見が割れるようなものは直した方がよい。」質問者「集団的自衛権も行使し、武器も堂々と使用したいというのがあなたの本音か。」「私はそうすべきだと思います。」
質問者「今回問題となって空幕長を更迭された。感想はどうか。」「村山談話と異なる見解を表明したということで更迭された。私は見解の相違はないと思っているが、防衛相が不適切だと判断し解任するのは政治的に当然だ。私の書いたものはいささかも間違っているとは思っていない。」
(日本が侵略国家とはぬれぎぬ)について質問者は「侵略の定義は世界中の立法府で討議している議題。(論文は)三権分立に対する挑戦では。」防衛相「憤慨している。極めて不適切な発言で責任の大きさは感じてもらわなければならない。だから空幕の職を解き退職していただいた。」
質問者「大臣らが減給する重大問題なのに、その判断(懲戒手続きは時間切れとなる見込みから定年退職としたこと)は軽い。」防衛相「空幕長を更迭した時点で懲戒処分するしないということより、その重さを自覚しもらいたかった。自衛隊の中で政府見解と異なることを新たに主張し、それが表に出て自衛隊員の士気が落ちることにつながるのを避けたかった。」質問者「時間がかかると国民の理解が得られないので降格としたのか。」防衛相「その通りだ。田母神氏が身分を保有したまま政府見解と異なる自らの意見をさらに主張することがあれば、自衛隊内外に与える影響が大きい。退職という措置は適切だったと思う。」
質問者「統幕学校の一般過程に外部講師を招き日本の国家観・歴史観を学ばせる科目の創設を主導したのか。」「日本の国を良い国だと思わないと頑張れない。きちっとした国家観・歴史観なりを持たせなければ国は守れないと思い講座を設けた。」質問者「政府見解にも反する歴史観を自衛隊幹部に教え込んでいる。」
質問者「田母神論文は歴史を改ざんしている。政府や現職の自衛隊諸君が「悪かったこと」「教訓にしなければいかんこと」を踏まえた国家観や歴史観を持たなければ、その刃がどこに向くかは戦前の日本の軍隊が示している。」「おっしゃっていることが全面的に正しいとは思わない。「悪いことを日本がやった」と言うんであれば「じゃあやらなかった国はどこですか」と私は論文に書いている。日本だけがそんなに悪いと言われる筋合いのものでもない。」
自衛隊は鉄砲や大砲・戦車・ミサイル・艦船・戦闘機等の武装した集団である。田母神前航空幕僚長の解任に端を発して、日ごろなかなか垣間見ることのできない責任ある立場の自衛隊員の考え方の一端を窺い知ることができた。そこで、憲法や政府見解と自衛隊の関係、そして憲法や政府見解と自衛官の関係、シビリアンコントロールが貫かれているとはどういうことか、今一度考える機会を図らずも得た。様々な論点を孕んでいると思われるが、国会に於いてはうやむやに終わってしまいそうである。
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